繰り上げ・繰り下げどちらがお得?(繰り下げ編)
国民年金「繰り上げ編」に続き今回は繰り下げについてです。
「繰り上げ編」では、繰り上げのメリットよりデメリットの方が多いという結果になりました。しかし、繰り下げとてデメリットがないわけではありません。
繰下げということは、受給期間を先延ばししているわけですから、その間の生活費がある程度余裕がないと難しいでしょう。
また、受給額が大きくなるということは、それだけ税金も増えるわけです。
ここでは、繰下げ制度に関して、どのような制度で、どういうメリット・デメリットがあるのか、見ていきたいと思います。
繰り下げ
繰り下げは何歳まで可能?
繰り下げは、年金を原則65歳より後に受給することを指します。以前は70歳までなら誰でも繰り上げが可能でした。しかし、令和4年からは昭和27年4月2日以降生まれの方であれば75歳まで受給を延ばすことができるようになりました。
受給年齢が延びた理由としましては、1つは一昨年の令和3年4月に改正された高年齢雇用安定法も関係していると思われます。同法では、企業の努力義務とされていた高齢者の就業機会確保が65歳から70歳に引き上げられました。
身体が動くうちは働いて、その給料で生活し、可能な限り年金はもらわずに生活したい。このような考えを持っている諸先輩方も少なくないようです。申請は、繰り上げ同様、最寄りの年金相談事務所や年金相談センター、市町村役場で行えます。
以下の書式が繰下げ用の書類です。
※出典:年金保険機構
年金支給額
繰り下げの割合ですが、繰り上げが1ケ月につき0.5%(昭和37年4月2日以降生まれの人は0.4%)減額されるのに対し、繰り下げは0.5%(昭和27年4月2日以降生まれの人は0.7%)の増額になります。
単純計算しますと、67歳の誕生日に申請したとすると、24×0.7=16.8%の増加です。
国民年金を満額受給できると仮定して、それに繰り上げ分16.8%を加えた額は、
795,000+(795,000×16.8%)=928,560円
繰り下げは66歳の誕生日以降であれば一月単位で自由に申請可能です。ご自身が受給したい月に合わせて行ってください。
また、厚生年金も受給できる方であれば、繰り上げと違い国民年金と同時に申請しなくても構いません。
「厚生年金は65歳から貰ったけど、国民年金は68歳からもらうことにしよう。」
ということも可能です。
詳細は下の早見表をご覧ください。
出典:厚生労働省
メリット・デメリット
次にメリット・デメリットですが、繰り上げ同様繰り下げにもいくつかあります。
メリット
- 国民年金と厚生年金は別々に繰り上げが可能
- 受給時期が遅くなればなるほど額が増える
- 受給が開始されたら、その額が一生涯続く
- 付加年金を納めていた場合、年金の同じ増加率で受給できる 等
デメリット
- 加給年金が貰えない
- 繰り下げた年齢までの生活資金が必要
- 税金や社会保険料が負担増となる 等
まとめ
いかがでしたでしょうか。繰り下げはメリットの方が大きい気もしますが、それでも多少のデメリットは覚悟しなければなりません。
ご自身やご家族のお考えなど、ライフスタイルに合わせた計画的な金銭管理が必要かと思います。
ここでは国民年金をベースに説明しましたが、厚生年金も繰り上げ・繰り下げの支給割合は同じです。
しかし、自営業者やフリーランスで長年働かれた方で、年金は国民年金のみという方は、ここで説明した計算方法が当てはまると思います。
国民年金のみの方は、繰り下げだけでは心許ないので、肉体的・精神的な部分が許せる範囲で働き続けるのも選択肢の1つとなるでしょうし、経済的に余裕がある方なら資産運用を考えてみても良いと思います。
思い立ったが吉日です。お金に関することで悩んでいる方がいらっしゃれば、是非「FP TK Life Support」に相談してみてはいかがでしょうか。