住宅購入の賢い選び方と災害対策
住宅購入は、一生のうちで一番高い買い物と言われるだけに、購入に関しての情報収集は慎重、且つ綿密に行いたいものです。しかし、居住環境の良し悪しは、住んでみないと分からないことの方が多い気がします。事前の情報と状況が違うからと言って、賃貸と違い引っ越すことも容易ではないため、居心地の悪い新居生活を余儀なくされる方もいらっしゃるようです。
住宅購入には多額の資金が必要で、多くの方はローンを組むと思いますが、特に新築物件を購入する場合は、何千万円を何十年もかけて払い続けることになります。そのため、最低でもローン払い続けるまでそこに住むことになります。そういった観点から、長く住むためにも自然災害から家を守る必要もあります。
近年の災害を見ますと、台風や豪雨は季節的に起こりやすい時期はあっても、地域の点で見ると、どこで水害が起こっても不思議ではありません。
そこで、特に引っ越しを伴う自宅購入をする際に、気を付ける点を価格と自然災害の面から見ていきたいと思います。
近年の住宅事情
バブル崩壊後は、住宅価格も落ち着いた感があり、都心部でもパワーカップルなどは少し無理をすれば手が届く範囲でしたが、近年、特に23区内の新築マンションが高騰し続けています。
原因は、建築資材や人件費の高騰など様々な要因があり、原因解消はこの先も難しいことが予想されます。
そういった状況とSDGsの観点から、ここ数年は中古マンションに注目が集まっているようです。住宅購入は、一生に一度の買い物と言われm家族全員の「マイホーム」となるため、住宅購入は家族全員が納得できるような環境が理想ですが、100点満点とはいかないものです。
また、購入費用も頭を悩ますところですが、メガバンクやネット銀行では、様々な商品を販売し、住宅ローン希望者の獲得に力をいれているようです。ここでは、近年の住宅事情や、購入希望エリアを選定する際の注意点などをファイナンシャルプランナーの立場から考えてみました。
中古物件が熱い!
近年の新築分譲マンション物件高騰のあおりを受け、過去に例がないほど中古マンションに注目が集まっています。その傾向は、都内はもちろん地方においても同様で、中古マンションの価格が軒並み上がり続けています。
特に東京23区内においては、新築分譲マンションの平均価格が1億円を超え、ビジネスパーソンの手が届かない価格帯に入ってしまった感があります。
(2024年12月時点:不動産経済研究所調べ)
このような理由から、新築分譲マンションを諦め、中古マンション購入へとシフトした方も少なくなく、築年数が40年以上のマンションや古民家をリノベーションし再販売した物件が注目されるなど、SDGsの観点から中古物件が見直されています。
自宅購入を検討している方の多くは、次に住む家が終の棲家になるだろうと思ってらっしゃるのではないでしょうか。この先何十年と同じ家に住むのですから、住む人の希望に沿った心地良い家に出会いたいものです。
積極的な家族会議開催を!
「家を買うときは勢いも大事だ」とおっしゃる方もいますが、勢いだけでは何千万もする買い物は出来ませんし、そうかと言ってあれやこれや悩んでばかりいたら、いつまで経っても買うことはできません。
自宅購入の目的及びメリット・デメリット、家庭内の現状と問題点等を顕在化させるとともに、引っ越しが伴う場合には、交通の便や通勤形態、子どもの通学の問題、新しい居住先の近隣住民に関する情報収集など、新たな居住環境に対応できる体制作りも大切です。
他にも、家族の状況を加味しながら家族全員が納得するような最適解を導き出すのは容易ではありませんが、自宅を購入してからでは手遅れになる場合もあるので、極力それを避けるためにも、家族で話し合うことはとても重要です。
購入費用はどうする?
自宅購入を検討する段階で一番の問題は、自宅の購入費用でしょうか。「欲しい家が見つかればある程度無理しても買う」のか「現在の収入から無理なく買える家」なのかで、ローンを組む額も変わってきます。
自宅を購入する場合の居住予定地域や購入費用をある程度範囲を決め、その範囲内でいかに妥協できるかが大切だと思います。しかし、妥協ばかりでは自宅購入後、不満が募って爆発するとも限りませんので、妥協できるものと、絶対譲れないモノ、これらの事項をいくつか決めておくことが肝要かと思います。「金に糸目を付けぬ」という方であれば、妥協という意識は必要ないと思いますが。
住宅ローン商品も様変わり
現在は、徐々に「金利のある世界」へと変わりつつあります。ほぼセロ%だった利子に金利がつくようになり、と、同時に住宅ローンの金利もじわじわと上がってくるようになりました。
各行はあの手この手で住宅ローンの顧客獲得を狙っており、ひと昔前と違い、住宅ローン商品も多様になってきました。
住宅ローンの最長は50年ですが、若者に人気があり、月々の返済負担額が少なく、賃貸を借りるのと同等或いはそれ以下の額で買える、といったところが理由のようです。50ローン商品を扱っているのは主に地方銀行ですが、ネット銀行大手である住信SBIネット銀行楽天銀行なども取り扱っています。
同じネット銀行であるPayPay銀行は、ペアローン型の団信として、ペアの一人が病気等で返済不能になると、2人の残高がゼロになるという画期的ともいえる商品を販売しています。
このように、各行とも、金利だけでなく商品内容にも特徴的なものを打ち出して差別化を図っています。
下記は大手銀行やネット銀行が販売している住宅ローン商品の一部です。
※出典:時事通信社
災害対策は必要?
近年の国内における自然災害の猛威は想像を絶するもので、地球温暖化による異常気象に伴い、国内においても自然災害の猛威は想像を超えるもので、毎年のように豪雨が原因の水害、土砂崩れ等の被害が発生しています。
気象庁の観測によると、1日の雨量が200ミリ以上を観測した日数が年々増加傾向にあり、直近30年間の雨量は、1901年からの30年間の雨量の約1.7倍に達しているとのことです。
自然災害がいつどこで起きても不思議ではありませんが、考えられる対策はとっておきたいものです。ここからは、認定火災保険調査員及び火災保険コンサルタントとしての立場から住宅購入時における災害対策を考えてみました。
災害対策もお忘れなく!
家族全員が納得できるような住まいが確保するのは大切ですが、災害が少ない地域を選ぶことも重要です。近年、自然災害が頻発していることから、災害対策は決して他人事ではありません。
認定火災保険調査員及び火災保険コンサルタントの立場から言わせていただくと、災害対策の一つとして、居住希望エリアをハザードマップで事前に確認しておくことをお勧めします。
ハザードマップは、各自治体で作成されており、例えば、熊本市は各地域に分けて詳細に内水氾濫対策用のハザードマップが作成されていますし、福岡市は土砂災害、内水、洪水、津波など個別のハザードマップが作成されています。
内水氾濫にもご注意を!
水は低い方へ流れていきますので、海抜○○mの○○の数字が低ければ低いほど水が溜まりやすいと言えますが、川や海から遠いから安心かと言えばそうでもありません。
それは内水氾濫の危険性があるからです。内水氾濫とは、側溝やマンホールなどに大量の雨が入り込むことで、処理が追い付かずに道路に溢れ返り、冠水や建物への浸水被害が発生することです。主に道路がアスファルトで固められている地域など水はけが悪い所で起きやすくなります。興住宅地や都市部などは、道路の大部分がアスファルトで造られており、特に注意が必要です。
市街地のアンダーパスで車が天井まで浸かっている映像を見たことがあるかと思いますが、そういった状況に遭遇するのは、都心部を通行するドライバーにとって決して他人事ではありません。
ハザードマップでは水害の心配がない地域で、且つ、丘の上にある場所なら心配はないとお思いかもしれません。しかし、近くに川があれば、万が一氾濫する可能性もあり、そうなった場合にどのような影響が及ぼすかも考えておきたいものです。
水害の心配はないとしても、小高い地域でしかも周囲が密集していなければ、台風などの強風による被害が出ないような対策を考える必要があります。
最後に
住宅は一生で一番大きな買い物と言われますが、ここ最近の価格の高騰で益々手が出にくいものになってきています。特に都心の新築マンションは億越えが当たり前と言っても過言ではありません。
こういった高額なマンションを購入できるのは、経営者やパワーカップルなど、高収入を得ている一部の人ではないでしょうか。
その一方で、購入をあきらめて早々に賃貸で一生暮らしていくことを決める若者や、起業あるいはオンラインで仕事ができる会社へ転職し、郊外或いは地方に引っ越してそこで終の棲家を得る人も増えているようです。
自宅購入の際には、費用だけでなく、安全性も考えてほしいものですが、満足のいく条件に出会うのはなかなか難しく、どこで折り合いをつけるか、が大切です。一般的に安全性が高い地域は土地価格もそれに比例する傾向にあります。それだけニーズがあるいう証拠とも言えます。
費用対効果をどのように考えるかは、各家庭ぞれぞれです。どのような家に住みたいか、家族内でとことん話し合って買って良かったと思えるマイホームに出会いたいものです。