団信と保険と終活と
団信と保険と終活と
タイトルをご覧になって、「団信」と「保険」と「終活」、この3つがどういう関係があるんだ?
とお思いの方が殆どではないかと思います。
「団信」とは住宅ローンを借りる方ならほぼ全員加入する(させられる?)団体信用保険のことで、「保険」は「終身保険」を意味し、「終活」はその名のとおりです。
「団信」と「終身保険」は、主に家計を支える人に万が一亡くなった場合に備えて加入するものです。「団信」は住宅ローンの補填であり、「終身保険」は残された遺族の生活費を賄うものとして、人によっては特に高齢者は葬式代の足しになれば、との思いから加入されるケースもあるようです。
団信と終身保険の関係
ここでは、自宅購入を基本として、団体信用保険と生命保険の関係について見ていきたいと思います。
自宅をローンで購入する際、必ずと言っていいくらい皆さん団信(団体信用保険)に入られると思います。団信に入らないと金融機関も融資してくれないでしょうから。
団信は、住宅ローン債務者が万が一亡くなった場合に住宅ローンの残金を保険でカバーするもので、大変便利な制度です。
平成初期頃までは、一般家庭における収入源は夫の給料というケースが主流だったと思いますので、必然的に住宅ローン債務者も夫ということになります。
住宅ローンを組む際に団信に加入していれば、夫が万が一亡くなった場合、その後の住宅ローンを払う必要が無くなります。
住宅ローンは無くなりますが、毎日の生活費はどうするか、という問題が出てきます。一生涯働かずに生活していけるような多額の死亡保険金が手に入るなら話は別ですが、夫の死亡保険金だけではいつか底がつく。と思えば、それまで専業主婦だった妻が働きに出ざるを得なくなるなど、状況が一変するでしょう。
しかし、だからと言って万が一に備えて多額の生命保険に入るのも考えものです。死亡保障の金額が高ければ高いほど毎月払う保険料も高くなるからです。生活を圧迫するほど高い保険に入る必要性はあるのでしょうか。
結婚して自宅を購入するまでは、ある程度大きな金額の生命保険は必要かもしれませんが、自宅購入を境に、生命保険の見直しは必須です。
自宅を購入する前までは、毎月の家賃や生活費を補うために、或いは子供の将来の教育費のために、万が一に備えてある程度の死亡保障は必要でした。
しかし、自宅購入後は、前述したとおり住宅ローン債務者が亡くなった場合は保険によって補填されるので、以後住宅ローンを支払う必要が無くなります。
ましてや自宅購入後は住宅ローンが重くのしかかってきます。いつまでも高額な生命保険に加入している余裕はないはずです。
夫が存命中は住宅ローンは払い続けないとならないが、万が一亡くなった場合は団信でカバーしてくれるので、その後のローン支払いの心配は不要です。
以上のことから、自宅購入を境に死亡保障を1度見直すことをお勧めします。見直すと言っても、保障額はその時の年齢や家族構成にもよりますし、保障額と今後の残された家族の状況を考えて、現状のままで良いケースもあると思います。
大事なのは、結節結節で家計を見直すことです。保険に限らず貯蓄や資産運用、教育費、生活費、レジャー費など日常生活に欠かせないお金に関する事柄の見直しです。状況によっては取捨選択も考えなければなりません。
死亡保障の話に戻します。
自宅購入時が35歳で子供がまだ小学生前の家族と、45歳で末子が大学生の家族では、将来子供に掛かる教育費が違いますし、将来的に家族にとって必要な生活費も違ってきます。
また、夫だけが働いているのか、共働きか、でも必要とする保障額は変わってくるはずです。
下の図は、内閣府男女共同参画局が公表した「共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移(妻が64歳以下の世帯)」です。
出典:内閣府男女共同参画局
2000年以降は共働き世帯が増加の一途を辿り、令和3年時点で妻が専業主の家庭と倍以上の差がつきました。この図からみても共働き世帯が主流になり、今後益々増えて行くのは間違いないと思います。
一昔前のように夫だけが収入源であり、住宅ローン債務者であるがため、万が一に備えて夫に多額の生命保険を掛ける。
もうそんな時代ではなくなりました。将来的に共働きを前提として自宅購入を考えた場合、夫婦ともに住宅ローン債務者となるペアローンも1つの選択肢となるでしょう。
そうなると、夫婦お互いの生命保険の死亡保障もそう高い額は必要ありません。
ましてや、夫婦双方が会社員であったなら、生命保険の他に遺族厚生年金などの公的年金も保障されます。
以上のことから、夫婦共に正規雇用であり、夫が妻かどちらかが一方的に家計を支えているという状況でない限り、夫又は妻に万が一のことがあっても簡単に家計が崩壊することはないでしょう。
しかし、同じ共働きでも夫又は妻がパートや非正規雇用など不安定な働き方である場合は、自宅購入後も共働きは可能な限り継続した方が良いと思います。そうすることで、夫(妻)が万が一亡くなっても、妻(夫)の収入と合わせれば生活できる程度の保障額に抑えられることができるからです。
終身と終活
次に終身と終活の関係について見ていきましょう。
どちらも終わりを意味する「終」の漢字が付くとおり、人生の最後を意味するものです。
ここでは、終身は終身保険を、終活は自分葬式のどうするか。費用はどのように残したら良いか。そういう観点から見ていきたいと思います。
終身保険は、死ぬまで保障してくれる保険です。加入時は年齢が若ければ若いほど保険料は安く済むのがメリットですが、長い人生の間で途中解約するケースもゼロではありません。
個人的には、少なくとも独身で若いうちから死亡保障が高い終身保険に加入するのは得策とは言えないと思います。
当然の話ですが、死亡保険金は加入者本人が使うことは出来ません。
では、誰の何のために死亡保険金を掛けるのでしょうか。加入時、ご自身が独身であったなら、両親のため。結婚している場合は残された妻又は夫、それに子供達の今後の生活のため。などが考えられます。
しかし、身寄りのいない「おひとり様」であるような方、或いは、特定の家族親族にお金を遺す必要はない。そういった方は自身の葬式代くらいの気持ちで加入された方が良いと思います。
高額な死亡保障を用意するよりも医療保険に重きを置いた方が得策と考えます。年齢を重ねる毎に死亡リスクは勿論ですが、病気やケガに逢う確率も高くなるからです。
終身保険はご自身が死んだときのお金の話ですが、死んだときにお金と同時に必要なのが自身の葬式をどうするかでしょう。
現代では、家族葬のように身内だけでひっそりと行う葬儀が主流になりつつあります。葬式費用も何百万も掛けることなく、コンパクトに手軽な金額で行うことができます。
特に家族にお金を遺す必要がない場合は、前述したように自分の葬式代は自分で用意する。そういう考えのもとで終身保険を今一度見直しては良いかもしれません。
終身保険は保障が一生涯ですが、保険料の支払いも一生涯。という保険もあるので、そういった場合は、保障額も大事ですが、毎月の保険料も無理のない範囲で支払えるような保険にしたいものです。
終活は早ければ良いというものでもないと思いますが、思い立ったが吉日です。とりあえずノートに思い付くまま箇条書きにするなど、今日から少しづつ考えて行動に移してみてはいかがでしょうか。