年代別ライフプランの考え方
入学、卒業、就職、転勤、結婚、子供の誕生など、人生には様々な転機があります。ライフプランを作成するにあたっては、このような転機をライフステージ、出来事をライフイベントと表し、ライフプラン作りのことをライフプランニングといいます。
FPの得意分野であるライフプランニングにおいては、お客様のライフイベントに合わせた資金計画の作成、アドバイス等を行っています。
ライフプランニングは、年代によって作り方が違ってきますし、結婚や子どもの誕生などライフイベントによっても変化します。
そこで今回は、年代別によるライフプランニングの作成方法について解説していきたいと思います。男性視点で書いていますので、その点はご理解ください。
20代
全般
20代前半は、学生から社会人になり、仕事や日常生活に大きな変化が生じるときです。後半になると、仕事にも慣れ始め、将来的なキャリア形成への足掛かりとしての準備を始める時期です。
一方で、同じ会社で長く務めることを想定しておらず、キャリアアップの足掛かりとして数年間でどれだけ実力を付けられるかに重きを置いた若者も確実に増えています。
こういった若者は、社会保障の面でいうと、特にスタートアップ企業に対して福利厚生が整備されているかを確認した方が良いでしょう。中小企業であれば、厚生年金制度や退職金制度を活用していない会社も少なからずあるからです。
20代の頃は将来の年金のことなど眼中にないでしょう。仕事の充実度で転職先を選んだ場合は特にそうです。
そうであるならば、NISAやiDeCo、株などコツコツ長く運用できる商品を選んだ資産運用を図るべきです。
数十年先の事など誰にも分かりませんが、予想や想像は可能です。今から数十年先の予想をしながら資産についても考える時期でしょう。
ライフイベント
早い人で結婚を意識し始め、家庭を持つ者もいます。一方、車の購入や海外旅行など趣味を充実させることで人生を楽しむことを優先する傾向もあります。
また、キャリアアップを求め、転職を考える、或いは事項に移す人も年々増える傾向にあります。最早20代で複数回の転職は珍しくありません。
マネープラン
自身の将来のキャリアプランと並行してライフプランを考えることが、後に結婚や住宅購入など大きなイベントが行われた際に、ライフプランの修正が容易に行え、将来への計画の見通しがより明確になります。
また、貯蓄や運用の仕方、保険契約の仕方、ローンやクレジットなど、生活に身近なお金に関する事項を学ぶ時期です。
30代
全般
職場では、中堅クラスから部下を何人も従える重要なポストに就く人が多い年代です。その一方で、より高い収入を目指す、または、キャリアアップのために転職をする人が多いのも特徴です。
中には起業し、事業を成長させるために毎日必死に仕事に没頭している人もいるでしょう。
家族形態は、独身で実家で両親と同居しているパターンが増加しています。
ライフイベント
晩婚化により、30代でも独身、或いは子がいる場合でも中学生未満で、この年代で教育費を心配する必要がない人は多いでしょう。
しかし、住宅購入を検討するケースが多くなる年代でもあるため、ライフプラン作成が必要である世代でもあります。
マネープラン
妻が専業主婦だった場合は、住宅購入を境に働きに出るケースが多くなりがちです。
住宅ローンを組む場合は、可能な限り「欲しい物件を購入するためのローン」ではなく、「今の年収で購入可能な上限額以下で購入するためのローン」の方を選択したいものです。
40代
全般
キャリアにさらに磨きをかける年代でありますが、責任の重いポストに就き、精神的に疲弊しがちなときでもあります。出世も先が見え始め、ちらほらと自身の身の振り方を考え始めるころです。転職するには最後のチャンスかもしれません。
また、親の介護の問題が出始める年代でもあります。同居するべきか、施設に入れた方が良いのか、悩む人もいるかもしれません。
ライフイベント
子供の進学問題、親の介護問題など様々な問題が出始めてくるころです。40代で住宅購入を決める人も少なくありません。
親の介護を見るために転職しなければならない状況も出てくるでしょう。場合によっては介護のために離職し、起業する人もいるのではないでしょうか。
マネープラン
一般的にはキャリアの積み重ねにより収入が一番多い時期ではあります。しかし、教育費が一番かかる年代であり、他に住宅ローンや親の介護費用も考えなくてはならない人も多くなる年代です。
50代
全般
仕事上は一般的には円熟期であると当時に、役職定年や早期退職が目の前に迫り、自身の身の振り方を真剣に考えるときでもあります。早期退職制度に応募するなど、長年勤めてきた企業に別れを告げ、新たな会社に勤めるか、独立する人も少なからず出ています。
ライフイベント
役職定年や早期退職などにより、自身の取りまく環境が変わってきます。ここからリタイアメントプランニングを本格的に準備する時期です。
マネープラン
教育費の支出がピークを迎えますが、収入は下降するでしょう。老後資金の準備を考えるときであり、子どもの自立と同時に保険も死亡保障から医療保障へ重点を移すときです。
60代以降
全般
リタイアしたものの、まだまだ元気で活動できる人が多い年代です。65歳定年制を敷いている企業が増えていることから、退職後すぐに年金生活で悠々自適に暮らすことができる人は多いと思いますが、その一方で適度に働くことを希望する人も増えてきています。
一部の大手企業や中小企業は、定年を70歳まで引き延ばしています。これからは「体が元気なうちは働く」時代に突入したかもしれません。
高額な給料を必要とせず、自分のペースで且つ人様に喜ばれる仕事がこの年代に最適ではないでしょうか。
ライフイベント
余生をのんびり過ごすか、定年後も働くか。その大前提に立つのは健康であればこそ、です。また、終の棲家を求めて引っ越す人もいます。交通の便が良い駅近のマンションなのか、郊外の一軒家か、はたまたサービスのよい有料老人ホームか。
マネープラン
定年退職後は、大幅な収入増は見込めません。貯蓄と年金での生活となります。極力定年退職までに住宅ローンを払い終えていたいものです。
最後に
結婚や住宅購入、教育費など、大なり小なり、その時々において資金は必要です。直前になって慌てて資金を集めるのではなく、長期計画を立てることで、無理のない貯蓄ができ、精神的な負担も軽くなります。
ライフプランを作成するにあたっては、将来の目標や予定をあらかじめ計画立て、それに応じた必要額も試算しておくと安心です。
しかし、人生何事も予定通りに行くことはあまりない、と言っても過言ではありません。予定が狂っても柔軟に対応できるような心の余裕は持ちたいものです。
そのためにも、長い周期で計画を立てるとともに、数年先までのライフイベントについては、より具体的に、などメリハリの利いた計画作りが重要かと思います。
まずは1度、人生設計を長い目で考えてはいかがでしょうか。